感覚過敏からの偏食

前回の続きで、今日も偏食のお話です。

「どうしてもダメ」がある 


前回
はどちらかというと
「好き嫌い」での偏食のお話でしたが
「好き嫌い」ではなく
感覚として「ダメ」という偏食もあります。

以前、「同じ服しか着たがらない」という記事で
感覚過敏について書きました。

このときは、肌にふれる感覚刺激が
人によって違う、ということをお伝えしましたが
「食べる」という部分でも
同じようなことが言えます。

口の中に食べ物をいれたとき
他の人にとってはなんともないものだったとしても
感覚過敏のあるお子さんの中には
「口の中にいれると不快で仕方がない」となる
食べ物がある、ということがあります。

ガラスを食べてる感じ 


実際にそのような感覚過敏のある方から
その不快さを例えて言うならば
「口の中にガラスを入れられているような感じだった」
と教えてもらったことがあります。

ガラスを口の中で噛み砕く。
想像してみてください。
硬いし痛いし飲み込むことなんてできないですよね。

私がお話を聞いた方は大人の方だったので
そういう風に「どのように不快か」を
周りに伝えることができますが
お子さんはまだそれは難しい。

むしろ、
この感覚が全てなところもあるでしょうから
他の人が「美味しい美味しい」と食べているのが
信じられないと思っているかもしれません。

どうしてそんなもの食べられるの?と。

でも、たとえそういう思いを抱えていたとしても
小さなお子さんは
「こんな風に辛いから食べることができません」と
上手に伝えられないことがほとんどなので
「嫌」「食べたくない」
と拒否するしかないのだと思います。

 いろんな感じ方 


さきほど教えてもらったガラスの例は、
「硬いものを食べたとき」なのですが
感覚過敏のある方、みんなが
「ガラスみたい」という感じるというわけではありません。

そして、もちろん「かたい」以外の
感覚過敏もあります。

ねちょっとしたもの。
つるつるしたもの。
ねばねばしたもの。

食べ物は、口の中でいろんな感覚をもたらします。
どこに不快を感じるかは、その人それぞれです。

そして、口の中で当たるいわゆる触覚の部分以外でも
味覚や嗅覚などでの過敏さからの
偏食もあります。

「飲み込む部分」の感覚過敏によって
口の中にはいれられるけど
飲み込むことができない、
というお子さんもいます。

 どれがOK?どれがNG?


偏食のお子さんが、
みんな感覚過敏というわけではありません。

ただ、普段から
・手にべとべとがつくことを極端に嫌がる
・お砂場遊びが嫌い
・ねんど遊びが苦手
などがあるお子さんは
「感覚のセンサーが鋭い」可能性も考えられるので
偏食でお悩みの方は
「感覚」という部分も
みてみるといいかもしれません。

もし「これは嫌!」という食べ物が
たくさんあるのであれば
味以外にも
◻︎形状(液体?固体?)
◻︎柔らかい?硬い?
◻︎温かい?冷たい?

◻︎色は?
◻︎大きさは?
という部分に注目してみると
傾向が見えてくる可能性もあります。

その傾向を探ることで、
その食べ物の味が嫌いだと思っていたけれど
どうやら柔らかさの問題だったらしいとわかって
柔らかさを調整して出してみたら
食べてくれた
というようなこともあります。

そして、食べられないものだけでなく
食べることができているものの傾向も
ぜひ見てみてください。

 無理強いはしない 


「好き嫌いをしないでなんでも食べる」が
理想かもしれません。

ただ、本当に、感覚として
「食べることができない」
という場合があるということを
頭の片隅に置いておいてもらえたらと思います。

「とにかく食べなさい!」
「食べるまで席を立っちゃダメ!」
と、厳しく叱ったり
口の中に無理にいれて食べさせようとするのは
逆効果。

前回の記事でも書きましたが
無理強いをさせればさせるほど
「食事」という場面が「怒られる時間」となって
楽しくなくなり
食べることができていたものまで
食べたくなくなってしまうこともあります。

今はかなり偏ったものしか
口に入れることができなくても
大人になるにつれて
感覚過敏はある程度残ったとしても
食べられるものが増える、
という場合も多いです。

ですので、前回との繰り返しになりますが
「まずは食事の時間を楽しむ」という部分を
大切にしてください。

栄養面が気になる、ということであれば
保健センターなどの栄養士さんに
「食べられないもの」の中にある栄養素で
その子が食べられるもの中でとれるものは
どんなものがあるのかを
教えてもらってもいいかもしれませんね。

 おわりに 


今回は、感覚過敏からくる偏食について
お伝えしました。

当たり前ではありますが
自分の感覚=全ての人の感覚
というわけではありません。

そして
その人が実際に感じている「感覚」は
その人にしか感じることができません。

だからこそ
相手の感覚は想像することでしかできない。

でも、
その感覚を共有できなくても
理解することができなかったとしても
「想像」して思いを馳せてみるだけでも
違うのではないかでしょうか。

偏食=好き嫌いが激しいという視点のみで
考えられがちなのですが
「感覚過敏」という視点もあるのだということを
知っておいていただけたらと思います。


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