「アンナチュラル」から考えたこと

現在放映中の「アンナチュラル」というドラマがあるが
最新話は「いじめ」に関するものだった。


テレビドラマや小説、映画などで
いじめや子どもの自殺を題材にしたものは
とても多い。

これらを観て、きっと多くの人たちは
「こんなことがあってはならない」
「いじめはよくない」
と感じるだろう。

けれど一方で心のどこかでは
遠くの世界のように感じることも多いのではないだろうか。

私は
このC’sDrawer子育て・発達相談以外にも
いくつかの仕事場をもっているが
その中に
学齢期〜思春期の子どもたちやその保護者から
相談をうける仕事場がある。

そこで語られる
日々の苦しさ・絶望・無気力感。

必死の思いで勇気を出して周りに発したSOSが届かず、絶望の淵にたたされて
何をどうしたらいいのかもうわからず
「死にたい・消えたい」
という思いしかでてこなくなっている子ども達。

そんな子ども達をみて
親としてできることを必死に探して
たくさんのところに相談をして奮闘するけれど
どうにもならず
何もできない無力感と
周りからの心ない言葉の数々に
傷ついていく保護者達。

それでもギリギリの力をふりしぼって
話をしてくれる人たちを前に
私は何ができるだろうかと
いつも思う。


相談が終わった後もその人達の生活は続いていく。
その中で拠り所になる人や場所をもてていくのが1つの理想ではあると思う。

いろんなサービスができていっているし
ネットを活用したものも
居場所支援も今は探せばたくさんある。

いろんな生き方や働き方があるということを
発信している人もたくさんいる。

けれど
そこまで到達できる人のほうが少ないのが現実だ。

セーフティネットの1つでもあり
多くの人におそらく認知されているであろう
「いのちの電話」は
一番つらくなる夜〜夜中はいつも通話中で
何十回とかけてもつながりにくい。
繋がったらラッキーくらいな感じになっている。

もちろん、それぞれの場所が
必要とする人に届くよう奮闘している。

けれど追いつかないのだ。

いじめ対策として
道徳教育やスクールカウンセラーの導入など
教育現場も変化している。

でも、問題はなくならない。

じゃあどうしたらいいのか。


私が日々感じていることの1つは
セーフティネットとして存在する様々なサービスについて
まずは子どもや保護者に関わる人々が
たくさん知っておくことが大事なのではないかということで。

担任の先生に相談しましょう。
保健室の先生に相談しましょう。
スクールカウンセラーに相談しましょう。
教頭や校長に相談しましょう。
教育委員会に相談しましょう。
教育相談にいきましょう。

学校という世界のなかで考えると
こういった方法が提案されて
もちろんそこで解決されることもあるのだけど
外に目を向ければ他にも当然色々あるわけで。

・どんな選択肢が考えられるのか
・どんなサービスがうまれているのか
・どういう調べ方をすればでてくるのか
教育・心理・福祉に携わる人は特に
そういう部分に敏感に情報をアップデートするという意識
とても必要なのではないだろうか。


「こうすればいい!」という
強いメッセージを発することができたらいいのかもしれないけれど
正直私はそれが苦手だ。

なぜなら
「こうすればいい!」というものは1つなのではなくて
それぞれに合ったものが見つかるようにすることが大切だと思っているから。

大切なのは
目の前にいる子どもたちや保護者の
背景にあるものや思いを想像すること。
多角的に情報を収集しアップデートし続け
繋げていくという意識をもつこと。

そして
専門性を日々高めていくのはもちろんだけれど
自分がいる業界や場にとらわれず
広い視点を持ちながら
「何ができるのだろうか」ということを常に考え
子どもたちや保護者達と向き合っていくことが
私の仕事であると改めて感じているのでした。